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オーストラリア国内に存在する固有種はなんと100万種!
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環境保護活動が盛んだよ!
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コアラは絶滅するの?
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お腹の「袋」が後ろ向きに付いた有袋類がいるって本当?
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「世界一幸せな動物」と呼ばれている動物はどれ?
多様な生態系と固有の動植物
オーストラリア大陸には、世界の多種多様な生態系のおよそ10パーセントが存在しているといわれています。現在、国内にはおよそ100万種の固有種が存在し、淡水魚の大半、鳥類の約半分、また顕花植物、爬虫類、哺乳類の8割以上がオーストラリア特有の固有種であるとされます。大陸が5,000万年以上にわたり孤立していたことから、これらの動植物は、この国の変化に富んだ気候や地理的条件に適応しながら、独特な進化を遂げてきました。それでは、どのような動物がいるか具体的に紹介していきましょう。
哺乳類
哺乳類は乳で子を育て、体表が体毛または毛皮に覆われているのが特徴で、単孔類、有袋類、有胎盤類の3つに分類されます。オーストラリアは、世界有数の古代哺乳動物に数えられるカモノハシなどの単孔類や、コアラやカンガルーを代表とする有袋類といった珍しい哺乳類が生息していることでよく知られています。これら哺乳類は元々オーストラリアにいた固有種ですが、羊やウサギなどは後の移民が農業目的などで国内に持ち込んだ外来種で、現在、外来種がオーストラリア固有の野生生物に及ぼす影響が問題となっています。
別称 | 特徴 | 例 | |
単孔類 | 卵生哺乳類 |
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有袋類 | 有袋哺乳類 |
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有胎盤類 | 一般的な哺乳類 |
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カモノハシ
特徴:
体長や重さは様々ですが、オスは成体で、平均体長50センチ、体重は2.7キロです。背中はベルベットのような茶色い体毛に、お腹は灰色の体毛に覆われています。 柔らかいゴムのようなくちばしを持っています。足には水かきと爪があります。
分布:
オーストラリア本土の東南部およびタスマニア州
その他の情報:
別名「ダックビル(アヒルのようなくちばし)」とも呼ばれます。一度に2つの卵をつながった状態で産みます。繊細なくちばしを使って、水中で捕食活動を行います。肺呼吸を行いますが、ほとんどの時間を水中で過ごします。腹袋はありません。
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カモノハシの標本がイギリスに初めて紹介された時、あまりにも珍しい形をしていたので、多くの科学者は偽物の標本だと思ったというエピソードが残されているよ。
ハリモグラ
特徴:
平均的な体長は35~50 センチで、重さは最大8キロです。平らな体は硬い毛と身を守るための5センチほどの鋭い針で覆われています。長く突き出た細長い鼻を持ち、粘り気のある長い舌を使って捕食します。
分布:
オーストラリア全土
その他の情報:
別名「スパイニー・アントイーター(とげのあるアリクイ)」と呼ばれることもあります。最大1ヶ月間、何も食べずに生き延びることができます。母親の育児嚢の中に一度に1つだけ卵を産みます。攻撃されると、体を丸めて、尖った針のボールのようになるか、針を立てたまま穴を掘り身を隠します。
カンガルー
特徴:
大きく強い後ろ脚と小さな前脚をもっています。鹿のような小さな頭には、まっすぐ長い耳が立っています。 長くて太い強力な尻尾で体を支え、バランスを保ちます。一番大きいのはグレーカンガルーと赤カンガルーで、どちらも成体は体長1.8メートル以上、重さ90キロを超えます。
分布:
オーストラリア全土
その他の情報:
頭数が多い7種類のカンガルーはオーストラリア全土に生息しています。 カンガルー科に属する動物のうち、カンガルーより小さいものをワラビーと呼びますが、これは科学的に明確に分類されたグループに対する名称ではありません。ワラビーも含め、大きさの異なる48種類のカンガルーがいます。生まれたばかりのカンガルーは、体長1~2センチで、体重は1グラムほどです。 通常、一度のジャンプで7.5メートルほど進み、時速50キロで移動することができます。攻撃されると、後ろ脚を強烈に蹴り出します。
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クオッカ
特徴:
体長40センチ~54センチ。体重は2.7~ 4.2キログラム。全身が毛皮で被われ、表面は明るい茶色の毛、その下に灰色がかった茶色の分厚い毛が生えています。茶色の顔に、丸く短い耳、黒い目と鼻 が付いています。手足と尻尾は茶色。オスのほうがメスより大きいです。
分布:
主に西オーストラリア州ロットネスト島・バルド島など
その他の情報:
クオッカは小型のワラビーの一種です。
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クオッカは口角をあげているような表情をすることから、「世界一幸せな動物」と呼ばれるようになったんだって!日本の動物園でも見られるよ。
世界一幸せな動物「クオッカ」
タスマニアデビル
特徴:
体長約90センチで、肩までの高さは約35センチです。体は白と黒の硬い毛で覆われており、ずんぐりとした体形をしています。大きく強い顎と歯を持っています。
分布:
オーストラリア本土では絶滅し、現在はタスマニア州のみで生息しています。
その他の情報:
夜行性で、家族単位ではなく、単独で生活します。揺り木馬に似たような動きをします。育児嚢は後ろ向きに開いています。 耳障りな喉声を上げます。 餌を食べる時に非常に攻撃的になります。近年、顔面を侵す癌のような病気に苦しんでおり、個体数が大幅に減少しています。この病気の治療法を見つけるため、現在、数多くの研究が進められています。
コアラ
特徴:
体長は60~80センチで、体重は5~12キロです。体は灰色の厚い毛に覆われ、小さな目、黒っぽい大きな鼻、長い足指と鋭い爪をもっています。 まぶたやしっぽはありません。 生まれた時は約2センチで、5グラムほどの重さです。
分布:
オーストラリア東南部
その他の情報:
通常、夜行性で、1日最大20時間も眠ります。木登りが非常に上手です。英語では「コアラ・ベア」というニックネームで一般的に親しまれていますが、クマ科ではありません。現在、一部の種の間で、寿命を縮め繁殖能力を減少させる病気が発生しています。
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ウォンバット
特徴:
体は、黄みを帯びた黒色あるいは灰色褐色の長く硬い体毛で覆われています。 穴掘りのための丈夫な爪をもち、ずんぐりとした丈夫な体型をしています。平均的な体長は最大約90センチ、体重は最大約30キロです。
分布:
タスマニア州とオーストラリア本土の南部
その他の情報:
ウォンバットには3種類あり、オーストラリアにはすべての種類が生息しています。 夜行性です。巣穴は広範囲に及ぶため数多くの入口があります。また、巣の場所を特定できるような獣道が森中にあります。ウォンバットの育児嚢は、後ろ向きについていますが、これは巣穴掘りをするときに、袋に土が入らないようにするためです。
鳥類
オーストラリアには、色鮮やかなオウムやペリカンなど様々な鳥がおり、国内に生息する鳥の8割以上がオーストラリア固有種です。中でもエミューやワライカワセミはオーストラリアを代表する鳥としてよく知られています。
エミュー
特徴:
黒褐色またはくすんだ灰色の厚い羽毛に覆われています。頭と首の地肌部分は青っぽい色で、クチバシは短く黒い色をしています。小さな翼と長く丈夫な脚をもっており、足指は3本に分かれています。成体では、体長が180センチを超え、体重が35キロを超えることがあります。
分布:
オーストラリア全土に生息していましたが、現在はタスマニア州では絶滅しました。
その他の情報:
メスは6~11個の青緑色の卵を産み、オスが巣を作り、卵をふ化させます。飛ぶことはできませんが、最大時速65キロで走ることができます。 泳ぐこともできます。 ダチョウに次いで世界で2番目に大きな鳥です。オーストラリアの国鳥として、国章にも使われています。
ワライカワセミ
特徴:
体の割に大きな頭と強いクチバシをもっています。 茶色がかった灰色の羽をもち、翼には短く青い斑点模様があります。
分布:
オーストラリア本土東部
その他の情報:
世界最大級のカワセミです。 オーストラリアでは、「クッカバラ」という名前で知られています。ヘビを餌にする場合、木の上まで持っていき、下に落とすという動作を繰り返して捕食します。
オーストラリアの鳥は人間のように笑う?「ワライカワセミ」
昆虫
オーストラリアには8万6,000種以上の昆虫がいます。最も興味深い昆虫の1つが北部で見られる、体長1.8センチの巨大シロアリです。この巨大シロアリの巣(アリ塚)は岩のようで、最大6メートルの高さになります。
クモ
オーストラリアには確認されているだけで、2,800種以上のクモがいます。最も危険なクモは、セアカゴケグモとジョウゴグモです。ジョウゴグモの中には世界で最も毒性の強いものもあり、オーストラリア東南部に生息していますが、幸いにもそれほど目にすることはありません。1981年に抗毒血清が発明されるまで、オーストラリアでは10名以上がジョウゴグモに刺されて命を落としました。セアカゴケグモの腹部には様々な色のマークがありますが、多くの場合は赤色です。セアカゴケグモは、北米に生息するクロゴケグモの仲間で、オーストラリア全土に生息しています。
爬虫類
オーストラリアにはトカゲやワニをはじめとする爬虫類が数多く生息しています。人間にとって危険なものもいますが、大部分は無害です。
トカゲ
オオトカゲは種によって体長45センチから1.8メートルにわたるものまで様々です。鋭い爪と短い脚、二股に分かれた長い舌を素早く出したり引いたりします。中には樹上に生息するものもあります。
エリマキトカゲはオオトカゲの一種で、首の回りを覆う珍しい襟巻状のひだ襟を、怒った時や脅威を感じた時に広げます。敵が威嚇で怯まない場合には、長い後脚で立ち、高速で逃げ去ります。
ワニ
オーストラリアには、イリエワニ(別名海水ワニ)と淡水ワニの2種類がいますが、どちらも熱帯海域にのみ生息し、保護されています。
淡水ワニは北部の川の上流や川の中の水溜り、小さな沼にのみ生息し、人間を襲うことはなく、小さな獲物だけを餌としています。体長が3メートルを超えることはほとんどなく、長く突き出た鼻をしています。
イリエワニは入江と大きな海岸河川にある、淡水と海水が混じり合った塩分の少ない水域(汽水域)に生息し、オーストラリア北部全域および東南アジア全域に分布しています。この種のワニは魚、カニ、ミズネズミといった小型の水生動物を餌にしています。たまに牛や馬といったより大きな獲物を捕食することもありますが、人を襲うことは滅多にありません。イリエワニは体長7メートルまで成長し、重さ1トンになることもあります。
魚類
サメ
サメはオーストラリアの海岸全域に生息しています。クロヘリメジロザメやハイイロメジロザメは大型の危険なサメで、西部に多く生息しています。グレーナース(シロワニ)は比較的動きが鈍いサメで、通常、オーストラリアン・サーモンなどの魚を餌にします。イタチザメは濃い灰色の表皮に、より色の濃い縞模様と斑点があるサメで、熱帯または亜熱帯海域に生息しています。
ジンベイザメは世界最大級の魚類で、3月から7月にかけて西オーストラリア州沖で見ることができます。
ホワイト・ポインター(別名:ホオジロザメまたはホワイトデス)は体長が12メートル近くになることがあり、おそらくすべてのサメの中で、最も危険な種類と言えるでしょう。ホワイト・ポインターは南極海に生息し、夏はオーストラリア南部の海域で、冬はクイーンズランド州沖で過ごします。オーストラリアの海域では、ホワイト・ポインターは絶滅危急種と見なされ、保護されています。
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過去150年の間、オーストラリアで発生したサメの襲撃による死亡者数は年間平均1人以下で、そのほとんどが夏に起こっているよ。
希少種および絶滅の危機に瀕した動植物
多種多様な動植物が存在するオーストラリアですが、中には、人間の定住と自然環境の変化により、人々が関心を払うようになる前に絶滅の一途を辿ったものもあります。20世紀初頭まで、オーストラリアにはタスマニアタイガーと呼ばれる犬と同じくらいの大きさの有袋動物がいましたが、羊を襲うということで乱獲され、本土から姿を消してしまいました。タスマニア州ではその後も生き残っていましたが、1930年代以来その生存は確認できておらず、現在では既に絶滅した可能性が高いとされています。
このような背景から、オーストラリアでは、近年、絶滅の危機に瀕している動植物の保護を目的とした様々な活動が行われています。連邦および各州政府は生息環境の保全と修復のプログラムを作り、絶滅の危機に瀕している動植物を保護し、繁殖させ自然に帰す努力をしています。
2020年には大規模な森林火災が発生し、コアラなど多くの動物に被害が出まし た。その救済支援のため、日本からも多くの募金が寄せられました。
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ノーザン・へアリーノーズ・ウォンバットはオーストラリアで最も絶滅の危険性が高い哺乳類で、クイーンズランド州中央にあるエピング国立公園にしか生息していないんだよ。
環境問題へ向けられる国民の意識
オーストラリアでは、様々な環境保護プログラムを通じて、生物多様性の保全や気候変動対策、水資源の確保と水質改善、リサイクルの推進などが行われています。
オーストラリアから始まって世界中に広がった環境保護活動には、1989年にシドニーのヨットマン、イアン・キーナン氏が発案し、現在では、国連環境計画の協力で「クリーンアップ・ザ・ワールド・デー」として100カ国以上で実施されている海岸の清掃活動や、国際的環境保全団体WWFのオーストラリア・メンバーのアイディアをもとに、2007年に初めてシドニーで220万人の市民と2,100企業が参加して行なわれた地球温暖化対策キャンペーン「アース・アワー」があります。2020年時点では過去最多の190の国と地域から人々が「アース・アワー」に参加し、時とともに活動が広がっています。
最も乾燥した大陸といわれるオーストラリアでは、水不足に対応するため、シャワーの使用時間を短くする、決まった曜日のみに芝生や庭木に散水するなど、市民が節水に気を配って生活しています。この他、レジ袋の削減やエネルギー効率の悪い白熱電球の廃止など、日常生活レベルにおいても、様々な環境保護活動が実施されています。
政府レベルでは、プラスチック廃棄物の削減に向けた取り組み 、二酸化炭素の排出や有害物質の発生を抑制し環境に優しい石炭の活用を行うための技術(クリーン・コール・テクノロジー)の推進、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を回収し地中深くに貯留するプロジェクトなどが開始されています。二酸化炭素回収貯留(CCS)については日本の政府や民間企業もオーストラリアに設立された国際的研究機関 に参加しています。
また、政府は近年、クリーンエネルギーである水素の輸出にも取り組んでいます。水素エネルギーサプライチェーンプロジェクト(HESC)では、オーストラリアと日本の両国の企業がビクトリア州ラトロブバレーの褐炭から製造した水素を液化して日本の神戸へ運ぶ実証実験を2018年より進めています。オーストラリア連邦政府、ビクトリア州政府、そして日本政府も支援する巨大プロジェクトです。
オーストラリア国家水素戦略
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オーストラリアには実に多くの野生生物が存在しているのね。国民が積極的に環境保護活動に携わっているというのも、素晴らしいことね。でも、何だかんだ言っても、私の一番のお気に入りはコアラよ。だけど、何で「コアラ」って名前になったのかしら?
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確かに「コアラ」って面白い名前だよね。「コアラ」はあるアボリジナルの人々の言葉で「水を飲まない」ということを意味すると言われているよ。実際、コアラは水分の多くをユーカリの葉からとるらしく、あまり水を飲むことはないそうだよ。