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伝統的な文化と最先端の現代アートが同時に楽しめる国なんだって!
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美術館や博物館が入場無料って本当なの?
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「ディジュリドゥ」って何のこと?
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世界で活躍するオーストラリア出身スターがいるらしいよ!
活気あふれる文化と芸術
オーストラリアでは、アボリジナル・アートなどの数万年におよぶ伝統に基づく文化・芸術と、様々な民族的背景をもつ移民によってもたらされた多様な文化や芸術が共存しています。
政府資金でまかなわれている芸術・文化活動も多いため、多くのサービスが無料で提供されており、人々が気軽に文化・芸術活動を親しむことができる環境が整っています。国内には、国立のバレエ団などがあり、すべての州に主要な美術館や交響楽団、図書館などがあります。美術館や博物館では、国際レベルの展覧会なども数多く開催されており、クイーンズランド州の州立美術館で3年毎に開催される「アジア・パシフィック・トリエンナーレ」、そして、シドニーで2年ごとに開催される「シドニー・ビエンナーレ」は、日本をはじめアジア太平洋各国から多数のアーティストが参加する国際展覧会として有名です。
近年、オーストラリアは、ニュー・メディアやバイオ・アート、コンテンポラリー・ダンスやデザインなどの先駆的な現代美術・文化を発信する国として、世界中で高い評価を受けるようになりました。政府支援の充実は、文化・芸術活動に携わる人々にとっても好ましい環境を生み出しており、日本を含めた海外からも多くのアーティストがオーストラリアを拠点として国際的に活躍しています。
映画・演劇
オーストラリアには5つの大きな映画撮影所があり、世界中の映画の撮影が行われています。加えて、デジタル・視覚効果やアニメーション制作を専門に請け負う映画制作会社などもあり、『ハリー・ポッター』シリーズなどが手がけられました。国内では、『裸足の1500マイル』や『サムソンとデライラ』など先住民を題材としたものや社会派のオーストラリア映画が多く作成されています。
また、国内で演劇を学んだケイト・ブランシェットやヒュー・ジャックマン、二コール・キッドマン、トニ・コレットなどの俳優はハリウッドをはじめ世界で活躍しています。
また、優れたオーストラリアの視覚効果(VFX)制作会社が『LEGOムービー』や『ゼロ・グラビティ』『アイアンマン3』『プロメテウス』『アベンジャーズ』『マトリックス』全作品等、世界的なヒット映画でその技術を発揮しています。
音楽
クラシック、ジャズ、ポップスやロック、先住民音楽などジャンルを問わず、音楽は、オーストラリア人の生活にとって常に重要な役割を果たしてきました。
クラシック分野では、国際的にも高い評価を受けているオーストラリア室内管弦楽団やメルボルン交響楽団などがあり、定期公演を行っているほか、各地で上演されるオペラも幅広い層の人々に支持されています。オーストラリアにジャズが到来したのは1920年代のことですが、その後すべての州の大学にジャズ研究コースが開設されたこともあり、1980代から90年代にかけて、コンテンポラリー・ジャズが独特の音楽性を確立していきました。ポップスやロック、カントリー・ミュージックの分野でも1980年代頃から、AC/DCやアボリジナルのバンドであるヨスインディ、カイリー・ミノーグやキース・アーバンなど数多くのバンドやシンガーが誕生し、世界的な人気を博しています。
先住民アート
オーストラリアの芸術文化やそのスタイルが多様になる一方で、国内外でアボリジナル芸術に対する評価がさらに高まっています。本来、先住民による芸術は、鑑賞するために作られたものではなく、祖先から受け継いだ霊的遺産の一部として、宗教上の意味や、暗号的な意味を持つものでした。そのため、先住民文化において、芸術表現は非常に重要で、音楽、ダンス、絵画など豊かな表現手段が用いられています。
アボリジナル音楽の伝統は何千年も前にさかのぼります。アボリジナルの人々は、遠い昔から、自然界に存在する素材を駆使して音色を作り出してきました。特にオーストラリア北部では、長い間、最古の木管楽器とされるディジュリドゥと一般には呼ばれている独特の楽器が儀式などで演奏されてきました。ディジュリドゥは伝統的に、シロアリに幹の中を食い尽くされて空洞になったユーカリの木を磨いて作られます。すべて手作りのため1本、1本、形や長さ、響く音が異なるのが特徴です。この楽器を演奏するためには、口から息を吹き込むと同時に鼻で空気を吸込む循環呼吸と呼ばれるテクニックをマスターしなければならないため、一人前に演奏できるようになるまでには何年もかかります。一部では、その身体に響く低い音色に、ヒーリング効果があると信じられ、病気治療のひとつとしても活用されていたと伝えられています。
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「ディジュリドゥ」という楽器の名前は、この音色を初めて聞いたイギリスの移住者が、「ディジュリドゥー」のように聞こえたとして名付けたのが由来とされているよ。
アボリジナルの伝統的な絵画的表現は、諸部族により異なり、その際に用いられる様式や素材、技法も多様です。ある型を洞窟の岩壁などに向け、その上から口に含んだ染料を吹きつけそのモチーフを描き出すステンシルと呼ばれる型抜き染めの技法や、「ドット・ペインティング」として知られる多数の細かい点(ドット)を用いる表現方法、この他、カンガルーなど動物の生体構造をまるで透視したかのように描く透視画の技法も知られています。
アボリジナルの人々は様々なものをテーマに絵を描いてきました。例えば、架空の生き物や人間、鳥、魚、爬虫類、動物の足跡、抽象的なデザインなどがそうです。これらテーマの多くがいわゆる「ドリームタイム」と呼ばれる先住民の天地創造の神話に関連するものであり、本来文字文化を持たなかった彼らは、このような表現方法を通して、長い間祖先から受け継いできた生活の知恵や教えを代々子孫に伝承してきました。抽象的なデザインには、食べ物や水のある場所などを示す暗号化された情報が含まれており、自然の中で生きる知恵や独特の世界観が表現されています。
伝統的な先住民の造形物は、色や特別な効果を得るために、自然界に存在する素材を活用し創作されます。国内西部の砂漠地帯では、儀式のために、黄土や粘土質の土、灰、また草木の繊維などを使って砂の上に造形物が創作されてきましたが、それらは儀式が済むと元に戻されました。1970年代から、いわゆる伝統的なものだけでなく、西洋絵画の方式を取り入れ、キャンバスなどの支持体にアクリル絵の具などを使用する画家もあらわれました。彼らの用いる手法が、偶然にも当時のアメリカの最先端の抽象芸術と共通していたこともあり、評価が高まり、今では世界中で知られています。
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公の美術館や博物館が無料でも楽しめるなんていいわね。入場料を払うと思うと、つい足が遠のいちゃうけど、ただなら行ってみようって気になるものね。
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そうだね。オーストラリアではみんな気楽に文化・芸術活動を楽しんでいるよ。僕はクリスマスの時期に、毎年近くの公園で開催される無料野外クラシック・コンサートを楽しみにしているんだ。この日は輝く星空の下、持ち寄ったチーズやクラッカー、飲み物を楽しみながら、家族皆でオーケストラの演奏を満喫するよ。
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へー、クラシック・コンサートかぁ。そんなに気軽に楽しめるなんて、聞いているだけでワクワクするわね!