国際的関与
オーストラリアは、開放的かつ包摂的で、繁栄したインド太平洋地域の実現に向けた営みを続けています。米国との同盟関係や日本、インド、インドネシア、韓国、ベトナムとの深い2国間関係は、中国との重要な関係と同様にきわめて大切です。
オーストラリアは同時に、ニュージーランドや英国と強固な関係を築いており、太平洋や東南アジア、欧州といった地域のパートナーとも深く結びついています。オーストラリアは多国間主義にコミットしており、他国と協力して自由貿易の推進や世界的課題への取り組み、ルールを基盤とした国際秩序のサポートにあたっています。
地域及び世界への関与 -インド太平洋地域への関与–
インド太平洋地域は、オーストラリアの安全と繁栄に欠かせません。この地域には、オーストラリアにとり家族のような存在の太平洋諸国や近隣諸国、同盟国である米国、他の主要な戦略面、貿易面でのパートナーが存在します。地域における経済的、戦略的比重が大きく変化する中、また各国が新型コロナウイルスからの回復に動く中、オーストラリアの関心は開かれた、包摂的で繁栄したインド太平洋地域の実現にあります。オーストラリアの外交政策の主な目的は、地域がインド太平洋地域の繁栄と協力的関係が基盤とする基本的な原則を侵さず、平和に進展を遂げることにあります。
インド太平洋地域におけるオーストラリアの課題としては、平和的な協力、及び開かれた市場を基盤とした地域の経済統合を誘導するためのルールや規範の推進が挙げられます。開発支援においては、域内の国々が、コロナ禍における厚生や社会、経済面での影響を克服できるようにする点に重点を置いています。オーストラリアは、同盟国の米国による、インド太平洋地域の経済や安全保障分野への強力な関与をサポートしています。また平行して、日本やインド、インドネシア、韓国、ベトナムといった主要なパートナーと、これまで以上の協力を行っています。
太平洋ステップアップ戦略は、オーストラリアの外交政策の中心に太平洋地域を据えるもので、経済の進展や強靭性の構築、地域の安定強化のため、オーストラリアはこの地域への関与、及びパートナーシップを深めています。また中国とは、違いをわきまえつつ、貿易を含む幅広い分野で深いつながりを維持できるよう、建設的な関係を追求しています。
オーストラリアは、インド太平洋地域におけるサイバーセキュリティや対テロ対策、インフラ開発、海洋安全保障といった課題において強靭性を高めると共に、協力を主導しています。また東南アジア諸国連合(ASEAN)や東アジア首脳会議(EAS)への関与を深めることで、地域の枠組みの強化に努めています。
日本や米国、インドとのQuad(クアッド)パートナーシップは、オーストラリアによるインド太平洋地域への取り組みの中心に位置しています。クアッドは開かれた、包摂的で強靭な地域の形成を支えるための4か国による外交的枠組みです。この枠組みはASEAN(東南アジア諸国連合)を含む、他の二国間や地域、多国間の協力を補完しています。
地域及び世界への関与 -ルールを基盤とした国際秩序–
オーストラリアはすべての国や国民の利益を増進する、ルールを基盤とした国際秩序の維持に強くコミットしています。オーストラリアは、以下に挙げるような安全や安定、繁栄の鍵となる数多くの国際的、地域的な枠組みや機関において、積極的な役割を果たしています:
- 国際連合 (UN)
- 世界貿易機関 (WTO)
- アジア太平洋経済協力 (APEC)
- 東南アジア諸国連合 (ASEAN)
- 太平洋諸島フォーラム (PIF)
- 東アジア首脳会議 (EAS)
- 環インド洋連合 (IORA)
- 主要20か国 (G20)
- 経済協力開発機構 (OECD)
- 国際刑事裁判所 (ICC)
- 世界銀行
- 包括的核実験禁止条約機関 (CTBTO)
- 女子差別撤廃委員会 (CEDAW)
ルールを基盤とした多国間貿易制度や地域の経済協力機関、自由貿易協定への関与は、オーストラリアの経済的繁栄や安定の支えとなっています。
国際連合などの国際平和や安全、貿易を主導する主要国際機関の原加盟国として、オーストラリアは自らの利益を支える国際法(条約、協定など)の策定や維持に、建設的な役目を果たしています。より最近では、2013-14年に国連安全保障理事会の非常任理事国に選任されたほか、2018-20年には国連人権理事会理事国を務めました。
オーストラリアはコモンウェルス(英連邦)の積極的な一員であり、コモンウェルス首脳会議に参加するほか、構成国間における人権や民主的規範、グッドガバナンスの促進においてこの枠組みをサポートしています。