日豪にちごうの出会であい

日本にほんとオーストラリアの出会であいは、1831年ねんにシドニーの捕鯨船ほげいせんが荒天こうてんを避さけるため、北海道ほっかいどうに寄港きこうしたことからはじまります。これはアメリカのペリー提督ていとくが浦賀うらがに黒船くろふねで来航らいこうする20年ねん以上いじょう前まえのことです。当時とうじ、日本にほんは厳重げんじゅうな鎖国さこく政策せいさくの下したで門戸もんこを堅かたく閉とざしていたため、十分じゅうぶんな交流こうりゅうがもたれることはありませんでしたが、その後あと、日本にほんが鎖国さこくを廃止はいしし、国際こくさい社会しゃかいとの接点せってんを求もとめるようになるとアメリカやヨーロッパからだけでなく、オーストラリアからも教師きょうしやジャーナリスト、宣教師せんきょうしといった人々ひとびとが日本にほんを訪おとずれるようになりました。1889年ねんにオーストラリアより来日らいにちした教師きょうしジェームス・マードックは、夏目なつめ漱石そうせきらに英語えいごを教おしえ、1917年ねんに帰国きこくするまでの30年ねん近ちかくを日本にほんで過すごしました。その後あと、貴重きちょうな経験けいけんと共ともにオーストラリアに戻もどったマードックは、シドニー大学だいがくで初はじめて日本にほん学がくを教おしえました。また1880年代ねんだい頃ごろからは、真珠しんじゅ採取さいしゅやサトウキビ産業さんぎょうに従事じゅうじするため、多おおくの日本人にほんじんがオーストラリアに移うつり住すむむようになりました。両国りょうこくの関係かんけいはこの頃ころから徐々じょじょに本格ほんかく化かしていきました。

日豪にちごう関係かんけいの発展はってん

1879年ねん、オーストラリアから日本にほんに初はじめて羊毛ようもうが輸入ゆにゅうされました。明治めいじ政府せいふが近代化きんだいかを図はかる目的もくてきで役人やくにんや学生がくせいの制服せいふくの導入どうにゅうを決定けっていし、皇室こうしつが洋装ようそうを採用さいようした頃ころから、上流じょうりゅう階級かいきゅうを中心ちゅうしんに洋装ようそうの習慣しゅうかんが広ひろまっていき、それと同時どうじに羊毛ようもうの輸入ゆにゅう量りょうも増加ぞうかしていきました。その後あと、日本にほんから米こめなどがオーストラリアに輸出ゆしゅつされるようになると、日豪にちごう貿易ぼうえきはさらに拡大かくだいし、1931年ねんまでに日本にほんはオーストラリアにとって二番目にばんめに大おおきな羊毛ようもうの買かい入いれ国くにとなりました。

日本にほんとオーストラリアは共ともに二度どの世界せかい大戦たいせんを経験けいけんしました。第一だいいち次じ世界せかい大戦たいせんでは、日豪にちごう両国りょうこくはイギリスと共ともに連合国れんごうこく側がわとして、ドイツその他ほかの同盟どうめい国こくを相手あいてに戦たたかいましたが、第二だいに次じ世界せかい大戦たいせんではオーストラリアはアメリカ、イギリスなどの連合れんごう国側くにがわとして、日本にほんがドイツ、イタリアと共ともに形成けいせいした枢軸すうじく国側くにがわと対峙たいじしました。第二だいに次じ大戦たいせん中ちゅうには、日本にほん軍ぐんによるオーストラリア本土ほんどダーウィンなどへの空爆くうばくや、シドニー湾わん停泊ていはく中ちゅうのオーストラリア海軍かいぐん艦船かんせんへの攻撃こうげきが行おこなわれました。また、1944年ねんにはニュー･サウス･ウェールズ州しゅうのカウラ捕虜ほりょ収容所しゅうようじょで、多おおくの日本人にほんじん捕虜ほりょが脱走だっそうを試こころみましたが、失敗しっぱいに終おわり、集団しゅうだん自殺じさつを遂とげました。現在げんざい、カウラには日本人にほんじん墓地ぼちが建設けんせつされており、この事件じけんへの追悼ついとうの意いを込こめ、日本にほん庭園ていえんが整備せいびされています。

戦後せんごの1951年ねんに日本にほんがサンフランシスコで平和へいわ条じょう約やくに調印ちょういんしたことによって、両国りょうこくは、それまで戦争せんそうによって断絶だんぜつしていた国交こっこうを回復かいふくし、オーストラリアはその後あとまもなくして東京とうきょうに大使館たいしかんを開ひらきました。
1957年ねんには日豪にちごう通商つうしょう協定きょうていが締結ていけつされ、第二だいに次じ世界せかい大戦たいせん中ちゅうに一時いちじ衰退すいたいしていた両国りょうこくの貿易ぼうえき関係かんけいは、以前いぜんにも増まして活発かっぱつなものとなりました。

現在げんざいの貿易ぼうえき関係かんけい

1957年ねんの日豪にちごう通商つうしょう協定きょうていの締結ていけつからわずか10年ねん余あまりの間あいだに、日本にほんはオーストラリアにとって最大さいだいの輸出ゆしゅつ相手あいて国こくとなりました。両国りょうこくの深ふかい経済的けいざいてき補完ほかん関係かんけいにより、1970年代ねんだい初頭しょとうに日本にほんはオーストラリア最大さいだいの貿易ぼうえき相手あいて国こく（輸出ゆしゅつと輸入ゆにゅうを含ふくむむ）となり、2007年ねんまでの約やく30年ねん間かん、その地位ちいを維持いじしました。今いまでも、日本にほんはオーストラリアの貿易ぼうえき相手あいて国こくのトップ3に常つねにランクインすると共ともに、オーストラリアにとって重要じゅうような海外かいがい直接ちょくせつ投資とうし先さきの一ひとつです。

現在げんざい、オーストラリアが輸出ゆしゅつする産品さんぴんの約やく5割わりを、石炭せきたん、液化えきか天然てんねんガス（LNG）、鉄鉱石てっこうせき、ボーキサイト、牛肉ぎゅうにくが占しめており、日本にほんはそれらの主要しゅよう輸出ゆしゅつ先さきとなっています。鉱物こうぶつ資源しげんをはじめ、都市としガスや発電はつでんに使用しようされるLNG、小麦こむぎや乳製品にゅうせいひん、牛肉ぎゅうにくやワインなど、オーストラリアからの輸出ゆしゅつ品ひんは日本にほんの産業さんぎょうや人々ひとびとの日常にちじょう生活せいかつを様々さまざまな面めんで支ささえています。
また、近年きんねんでは商品しょうひん貿易ぼうえきにとどまらず、観光かんこうや留学りゅうがく、金融きんゆうなどサービス貿易ぼうえきの面めんでも、両国りょうこく間かんで活発かっぱつな取引とりひきや交流こうりゅうが行おこなわれています。

オーストラリアはニュージーランドASEANなど近隣きんりん諸国しょこくと自由貿易協定じゆうぼうえききょうてい（FTA）を結むすんでいます。日本にほんとは長年ながねんの交渉こうしょうの末すえ、2014年ねんに日豪にちごう経済けいざい連携れんけい協定きょうてい（JAEPA／日豪にちごうEPA）が締結ていけつ、2015年ねん1月がつ15日にちに発効はっこうしました。この協定きょうていは両国りょうこく間かんにおける高こう品質ひんしつの商品しょうひん・サービス貿易ぼうえきの増加ぞうか、投資とうしに関かんする規制きせいの緩和かんわ及および経済けいざい成長せいちょうの促進そくしんを目的もくてきとしており、両国りょうこくに重要じゅうような経済けいざい的てき利益りえきをもたらしています。この協定きょうていにより、オーストラリアから日本にほんに入はいる商品しょうひんの関税かんぜいが徐々じょじょに下さがり、貿易ぼうえきが益々ますます活発かっぱつになっています。

また、日本にほんとオーストラリアを含ふくむむ11か国こくが参加さんかする環太平洋かんたいへいようパートナーシップに関かんする包括的ほうかつてきおよび先進的せんしんてきな協定きょうてい（CPTPP）は、2015年ねんに大筋おおすじ合意ごういを迎むかえ、2018年ねん末まつに発効はっこうしました。これは日本にほんとオーストラリアが位置いちするアジア太平洋たいへいよう地域ちいき全体ぜんたいで、共通きょうつうのルールを決きめて貿易ぼうえきや投資とうしを活発かっぱつにし、経済けいざいを伸のばしていこうというものです。
そして、地域的ちいきてきな包括ほうかつ的てき経済けいざい連携れんけい（RCEP）にも日本にほんとオーストラリアは参加さんかしています。2012年ねんにASEAN10か国こく・日本にほんとオーストラリアを含ふくむむASEANの自由貿易協定じゆうぼうえききょうてい国くに6か国こくが地域ちいきの貿易ぼうえき・投資とうしの促進そくしんを目指めざして交渉こうしょうを開始かいししました。2020年ねんにRCEP協定きょうていに15か国こくが署名しょめいし、各国かっこくで国内こくない手続てつづきが進すすめられ、10か国こくの批准ひじゅんで2022年ねん1月がつに発効はっこうしました。

発展はってんする友好ゆうこう協力きょうりょくの関係かんけい

1970年代ねんだいの初はじめになると両国りょうこくは単たんなる貿易ぼうえき上じょうの関係かんけいを超こえた、一層いっそう幅広はばひろい関係かんけいを築きずいていく要望ようぼうが高たかまってきました。そこで、オーストラリア政府せいふの提案ていあんにより、1976年ねんに日豪にちごう友好ゆうこう協力きょうりょく基本きほん条約じょうやくが調印ちょういんされました。この年とし、オーストラリアは、両国りょうこく国民こくみんの関係かんけいと理解りかいを深ふかめることを目的もくてきとして、豪日ごうにち交流こうりゅう基金ききんを創設そうせつしました。以来いらい、同どう基金ききんは、教育きょういくや文化ぶんか、ビジネスなど幅広はばひろい分野ぶんやで日豪にちごう関係かんけいを強化きょうかする活動かつどうを展開てんかいしてきました。

現在げんざい、オーストラリアの各州かくしゅうは日本にほんの都道府県とどうふけんと姉妹しまい関係かんけいを結むすんでいます。加くわえて、100を超こえる姉妹しまい都市とし関係かんけいがあり、年間ねんかんを通つうじて様々さまざまな国際こくさい交流こうりゅう活動かつどうが行おこなわれています。また、両国りょうこく間かんには姉妹しまい提携ていけい関係かんけいにある学校がっこう数すうが世界一せかいいち多おおいことでも知しられています。

草くさの根ねレベルでは、1980年ねん以来いらい、両国りょうこく間かんに設もうけられたワーキング・ホリデー制度せいどの下した、多おおくの若者わかものたちがお互たがいの国くにを訪おとずれ、働はたらきながら旅行りょこうをし、人的じんてきな交流こうりゅうを深ふかめています。日豪にちごう間かんにはまた、芸術げいじゅつ・文化ぶんか交流こうりゅう活動かつどうに支ささえられた友好ゆうこう協力きょうりょく関係かんけいが存在そんざいしています。近年きんねんでは、2006年ねんの日豪にちごう交流こうりゅう年ねんに活発かっぱつな芸術げいじゅつ交流こうりゅうが行おこなわれました。また、美術館びじゅつかんや文化ぶんか機関きかん、アーティスト同士どうしのネットワークが形成けいせいされており、お互たがいの国くにの芸術げいじゅつやアート作品さくひんの紹介しょうかい、コラボレーション活動かつどうなどが行おこなわれています。

また、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいにおいて、オーストラリアは捜索そうさく救助きゅうじょ隊たいを宮城県みやぎけん南三陸町みなみさんりくちょうに送おくったほか、救援きゅうえん物資ぶっしを運はこぶC-17輸送機ゆそうきを被災ひさい地ちに派遣はけんしました。

出典しゅってん：日本にほん政府せいふ観光かんこう局きょく　訪日ほうにち外客がいきゃく数すう(年表ねんぴょう)・国籍こくせき/月別つきべつ訪日ほうにち外客がいきゃく数すう
https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/visitor_trends/
https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/since2003_visitor_arrivals.pdf

観光かんこう庁ちょう2020年ねん3月がつ31日にちプレスリリース「訪日ほうにち外国人がいこくじん消費しょうひ動向どうこう調査ちょうさ2019年ねん間かん値ち（確報かくほう）」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/topics02_000182.html　

両国りょうこくの連携れんけいと国際こくさい社会しゃかいへの貢献こうけん

オーストラリアと日本にほんは、これまで二国こく間かんでの協力きょうりょくのみならず、様々さまざまな国際こくさい協力きょうりょくの分野ぶんやでも厚あつい信頼しんらい関係かんけいを築きずいてきました。アメリカと同盟どうめい関係かんけいにある両国りょうこくは、アジア太平洋たいへいよう地域ちいきを中心ちゅうしんとした地域ちいきの経済けいざい発展はってんや繁栄はんえい、安全あんぜん保障ほしょうのために、協力きょうりょくして指導力しどうりょくを発揮はっきしています。

この具体ぐたい例れいとして代表的だいひょうてきなのが、オーストラリアの提唱ていしょうを受うけて1989年ねんに設立せつりつされた「アジア太平洋たいへいよう経済けいざい協力きょうりょく（APEC）」です。APECは、アジア太平洋たいへいよう地域ちいきの持続的じぞくてきな経済けいざい発展はってんや地域ちいき協力きょうりょくの強化きょうかを目指めざす各国かっこくの協議きょうぎ機関きかんで、現在げんざい21の国くにと地域ちいきが参加さんかしています。両国りょうこくは、この他ほか、G20、東ひがしアジアサミット、東南とうなんアジア諸国しょこく連合れんごう地域ちいきフォーラム（ARF）、日米豪にちべいごう戦略せんりゃく対話たいわ、日米豪にちべいごう印しるし首脳しゅのう会合かいごうなど様々さまざまな地域ちいきのフォーラムを強化きょうかするため、共ともに働はたらきかけていくことを確認かくにんしています。

二国にこく間かんの枠組わくぐみにおいては、2007年ねんより、経済けいざい・貿易ぼうえきや安全あんぜん保障ほしょうの分野ぶんやで重要じゅうような進展しんてんが見みられるようになりました。同年どうねんから自由貿易協定じゆうぼうえききょうてい（経済けいざい連携れんけい協定きょうてい）の交渉こうしょうが始はじまりました。また、2007年ねんの｢安全あんぜん保障ほしょう協力きょうりょくに関かんする日豪にちごう共同きょうどう宣言せんげん」後あとより、日豪にちごう外務がいむ・防衛ぼうえい閣僚かくりょう協議きょうぎ（２＋２）、共同きょうどう演習えんしゅう、職員しょくいんの相互そうご派遣はけん、科学技術かがくぎじゅつ協力きょうりょくが始はじまりました。

そして、2014年ねんに、当時とうじの安倍あべ首相しゅしょうの来らい豪ごうの際さいに、日豪にちごう関係かんけいを「特別とくべつ戦略的せんりゃくてきパートナーシップ(Special Strategic Partnership)」へ一層いっそう高たかめたと共ともに、「日豪にちごう経済けいざい連携れんけい協定きょうてい（JAEPA／日豪にちごうEPA）」が締結ていけつされました。JAEPAはオーストラリアの輸出ゆしゅつ企業きぎょうに日本にほん市場しじょうへの優先的ゆうせんてきアクセスを提供ていきょうしました。また、同年どうねんより両りょう首脳しゅのうの相互そうご訪問ほうもんが定例ていれい化かしました。

これらに加くわえて、2022年ねんに、オーストラリアの国防こくぼう軍ぐんと日本にほんの自衛隊じえいたいとの間あいだで、相互そうごのアクセス及および協力きょうりょくを円滑えんかつ化かするための「日豪にちごう円滑えんかつ化か協定きょうてい」が署名しょめいされました。これは複雑ふくざつで急速きゅうそくに変化へんかする世界せかいにおいて、高度こうどな防衛ぼうえい・安全あんぜん保障ほしょう協力きょうりょくへの新あらたな章しょうを開ひらく画期的かっきてきな協定きょうていであり、自由じゆうで開ひらかれたインド太平洋たいへいよう地域ちいきの実現じつげんに貢献こうけんすることが期待きたいされています。

日本にほんとオーストラリアは、一層いっそう強固きょうこ(きょうこ)になりつつある両国りょうこく間かんのパートナーシップを土台どだいに、国連こくれんその他ほかの国際的こくさいてきな枠組わくぐみ内ないで協力きょうりょくし、今後こんごも幅広はばひろい国際こくさい協力きょうりょくのため貢献こうけんを続つづけていくことでしょう。

オーストラリア大使館たいしかんの活動かつどう

在日ざいにちオーストラリア大使館たいしかんは、オーストラリア政府せいふの代表だいひょうとして、日本にほんにおけるオーストラリアの国益こくえきを促進そくしんします。オーストラリアの前向まえむきなイメージを広ひろめ、日本にほん在住ざいじゅうのオーストラリア人じんに対たいし、領事りょうじ関連かんれん情報じょうほうやサービスを提供ていきょうしています。

ジャスティン・ヘイハースト駐日ちゅうにちオーストラリア大使たいしは2023年ねん1月がつに着任ちゃくにんしました。